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コラム 外科医に聞く鼠径ヘルニアの治療【2】

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従来法の欠点を補う手術が登場 日帰り手術が可能に

手術法が以前とはだいぶ変わってきているそうですね。

宮崎:
10年ほど前までの鼠径ヘルニア手術は、隙間の開いた筋膜と筋膜を引き寄せて縫合する方法が一般的でした。しかしこの方法では、術後の痛みやつっぱり感が残り、一週間程度の入院が必要です。また、もともと脆弱な筋膜を縫合するので10~15%は再発していました。
最近では筋膜の隙間をポリプロピレン製のメッシュのシートで塞ぐ手術が主体となっています。メッシュのシートは筋膜と腹膜の間に当てるだけ。筋膜と縫い合わせることはなく、術後の痛みやつっぱり感が少ないため、短期入院や日帰りで手術できるようになりました。

シートは隙間の開いたヘルニアの患部だけでなく、ヘルニアが生じやすい3ヶ所をすべてカバーするように措置します。ヘルニアの患者さんは鼠径部(そけいぶ)の筋膜全体が弱くなっているので、他の場所から新たにヘルニアが出てこないよう予防措置もしておくわけです。
留置したシートには周囲の組織が入り込んで適度に固くなり補強材の役目をしてくれるため、再びヘルニアが脱出することはほとんどなく、再発率は1%以下になりました。

手術は30分で終了 感染対策も万全

先生のクリニックでは全例日帰り手術をしているそうですが、初診から手術までの流れを教えてください。

宮崎:
通常は初診時にヘルニアかどうかを診断します。鼠径部(そけいぶ)の膨らみは炎症やがんなどによるリンパ節の腫れの場合もあるので慎重な診断が必要ですが、熟練した医師であればほぼ確実に鑑別できます。そして患者さんがヘルニアの手術を希望される場合は心電図やレントゲン、血液検査など術前に必要な検査をその日のうちに行います。
手術前日までは食事や運動など生活に何ら制限はありません。当日の朝は食事をせずに、手術の30分前に来院してもらいます。局所麻酔をしたあと、まず鼠径部(そけいぶ)を4センチほど切開。腹膜と腸を元の位置に戻し、戻した腹膜と筋膜との間にメッシュのシート置き、隙間を塞ぎます。皮膚を縫合して手術は終了。手術時間は30分程度です。

日帰りしても大丈夫なのですか。

宮崎:
安心して日帰りできる理由が二つあります。
まず一つ目は、完全に眠ってしまうような全身麻酔は使用しないこと。呼びかけると目を覚ます程度の軽い全身麻酔に、局所麻酔や硬膜外麻酔を併用しています。これらの麻酔でも除痛効果は充分ですし、術中患者さんと話もできるので、逐一患者さんの状態を確認できます。また回復が早く、1時間後には歩いてトイレにいけるほど。3~4時間後には帰宅できます。

二つ目は、感染対策を徹底していること。切開部の縫合にはすべて吸収性の糸を使うので抜糸はしません。さらに縫合した皮膚の表面には、特殊接着剤を塗ります。特殊接着剤はすぐに乾いて創部をがっちり保護してくれるので消毒の必要もありません。退院後の夕方からシャワー浴もできますし、3日後からはお風呂にも入れます。私の所では手術の7~10日後に創部の状態を確認して治療は終了。経過が良ければ、来院するのは手術日を含めて3日間だけです。

安心して手術を受けられるようになってきているのですね。

宮崎:
鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)の手術は、熟練した医師が行えば、危険なものではありません。健康保険も適用されます。手術によって長年の苦しみから開放され、快適に過ごしている方もたくさんおられますので、ぜひ医師に相談されることをおすすめします。

宮崎恭介院長

医療法人社団 みやざき外科・ヘルニアクリニック 宮崎恭介院長
1966年函館市生まれ。91年聖マリアンナ医科大学卒。北海道大学病院、手稲渓仁会病院などに勤務。98年北海道大学医学部大学院修了。
2003年4月札幌市にみやざき外科・ヘルニアクリニックを開業。
医学博士、消化器外科専門医・指導医、麻酔科標榜医、アメリカヘルニア学会会員、日本ヘルニア研究会世話人、第2回日本短期滞在外科手術研究会会長

鼠径ヘルニアの日帰り手術(日帰り入院)の動画鼠径ヘルニアの手術であるクーゲル法の動画


メディ助|鼠径ヘルニア,腹壁ヘルニア

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