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コラム 鼠径ヘルニア治療のウソ ホント

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質問: 薬で治療できますか?

回答: 薬では治療できません。

質問: 体を鍛えればヘルニアは治りますか?

回答: 基本的にヘルニアは、手術しないと治りません。いったん出来てしまったヘルニアは、自然には治りません(注1)。たとえ、戻ったとしても緩んでしまった筋膜は、多くの場合年齢に伴う変化なので体を鍛える訓練などで良くなることはなく、口が緩んで隙間が残っている限り、結局またヘルニアが出てきてしまいます。

(注1)
小児鼠径ヘルニアは大人のものと違い、筋膜が緩んで出来たものではなく、睾丸(こうがん)が降りてくる際に、あるいは鼠径管という構造が形成されるときに、腹膜がついて出てきてしまい、外に袋「ヘルニアのう(嚢)」ができてしまったものです。したがって周囲の組織に緩みはありませんから、ヘルニアのう(嚢)を切除するだけで治ります。自然に治る子供もいます。大人の方でも、実は子供の頃にこうしたヘルニアがあって、自然に治っていたのだけれどもヘルニアを発症する方がおられます。

質問: ヘルニアバンドで治りますか?

ヘルニアバンドで鼠径ヘルニアを押さえている様子回答: 手術をしない治療にヘルニアバンドがあります。これは治療というよりも対処療法で、バンドをヘルニアの外から当てて押さえ込んでしまうというものです。たしかに中身は出てこなくなりますが、たったり歩いたりするときにはいつもそのバンドをしていないといけません。
ヘルニアバンドに似た商品でヘルニア用サポーターも同様で、その場しのぎの対処療法で手術を受けるまでの繋ぎとして利用されるかもしれません。ヘルニアバンドが必要と感じる状態であるなら、症状が悪化する前に、一度外科を受診されて、医師の診察を受けましょう。

手術の方法について

鼠径ヘルニア(脱腸)の手術には人工補強材(メッシュ)が必要なタイプとそうでないタイプがあり、ヘルニアの種類や病状により選択されます。ここでは代表的な手術方法を紹介します。

1)従来法(バッシーニ法)

約100年前から行われている方法で、人工補強材(メッシュ)を使用しません。鼠径管の口を縫い縮め、腹部の筋肉や筋膜を糸で縫い合わせることで補強します。この方法で補強すると縫い合わせた筋肉や筋膜の部分に"つっぱり"ができ、術後の痛みやつっぱり感の原因になることがあります。また、加齢によってさらに筋膜が弱くなると再発することがあります。再発率は約2~10%と報告されています。術後は2~3日は安静にし、5~7日くらいの入院が必要です。

2)メッシュを使用した手術法

周りの組織を引き寄せるかわりに、人工補強材(ポリプロピレン製メッシュ)で出来た傘状のプラグ(栓)を、鼠径管の口や筋膜の弱い部分に入れて補強する方法です。植木鉢の底に栓をして、水が漏れてこないようにするようなイメージです。術後のつっぱりをなくすために1990年代になり開発され、現在日本で最も多く用いられている方法です。

全身麻酔の必要はなく、手術も短時間で済みます。再発率は低く(1~5%ぐらい)、術後よりすぐに歩行が可能です。短期入院または日帰り手術が可能です。また最近ではヘルニアの状態により傘状のプラグ(栓)だけでなく、クーゲル法やダイレクトクーゲル法と呼ばれる平らなパッチを補強材として使用する場合もあります。クーゲル法は植木鉢の底にメッシュを置いて(固定されます。)、上から水を入れて、水圧を利用して内側から欠損部を被うというコンセプトです。メッシュは水を通すというのは無視して、ヘルニアの修復のイメージとして参考にしてください。

3)腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術法

お腹の中にカメラ(腹腔鏡:ふくくうきょう)や処置具を挿入して、遠隔操作でお腹の内側から弱くなった筋膜、筋肉に人工補強材を当て補強する方法です。1990年代になり開発されました。通称ラパロとも言われます。

再発率が低く(1~5%ぐらい)、術後からすぐに歩行が可能です。短期入院または日帰り手術が可能です。ただし全身麻酔が必要なことと、他の手術方法と比べ手術時間が長くかかる傾向にあります。

各手術法の長所、短所

1)~3)はいずれも成人鼠径ヘルニア(脱腸)の手術として行われており、一長一短があります。以下に一般的に言われている各術式の長所、短所を示します。

手術方法 長所 短所
従来法
(バッシーニ法)
・人工補強材を用いない ・術後の痛み、つっぱり感がやや多い
・術後に安静、休労期間を要する
・再発がやや多い(2~10%)
メッシュを
使用した手術法
・術後の痛み、つっぱり感が少ない
・早期に社会復帰が可能
・再発が少ない(1~5%)
・感染がある場合の使用が制限される
腹腔鏡下
鼠径ヘルニア手術法
・術後の痛み、つっぱり感が少ない
・早期に社会復帰が可能
・再発が少ない(1~5%)
・全身麻酔が必要
・手術時間が比較的長くかかる
・費用が他の方法よりかかる

鼠径ヘルニア(脱腸)の手術は、一般外科手術の中で、最もポピュラーな手術の1つです。悩んで躊躇しているよりも、積極的に手術を受けてみてはいかがでしょうか?


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